2013年04月17日
世代超えた交流
http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20130417/CK2013041702000024.html
中日新聞 2013年4月17日
【岐阜】六百世帯が暮らす県内最大級のマンモス団地「ハイタウン北方」(北方町北方)で、入居するお年寄りと地域の子育て世代の交流が進んでいる。団地は独り暮らしのお年寄りが多く孤立しがちなため、集会所を開放したところ、若い母親らも集まるように。思わぬきっかけで、世代を超えた交流が生まれた。
四月初旬の平日の昼下がり。笑い声が響く集会所の一角で、瑞穂市田之上の主婦高橋香織さん(34)は長女(3つ)の積み木遊びの相手をしていた。少し離れたテーブル席では、間もなく一歳になる次女が、団地のお年寄りの腕の中で寝息を立てていた。
高橋さんは夫と娘二人の四人暮らし。次女の世話に追われ、長女に寂しい思いをさせていないか気掛かりだったという。
知人の誘いで出かけた集会所では、見ず知らずのお年寄りらが次々と次女の子守りを買って出てくれた。「ご好意に甘えちゃって。娘たちも温かい雰囲気を気に入っているみたい」
宅地開発が進む田園地帯で、ひときわ異彩を放つ高層団地群。その片隅に集会所はある。仕切りがない二百平方メートルほどのスペースでは、お年寄りがお茶を飲んでくつろいだり、子どもたちが工作を楽しんだり。昨年四月、「ひなたぼっこくらぶ」の愛称で集会所を開放したところ、近所の若い母親らに口コミで広まった。三十人ほどが連日、集会所に顔を出す。
ハイタウン北方は一九六〇年代後半から七〇年に建てられた団地群が前身だ。老朽化に伴う建て替えでそこから移り住んだ入居者が多く、高齢化が進む。独り暮らしのお年寄りの割合は16・5%で、県平均の7・8%(二〇一〇年国勢調査時点)の二倍以上になっている。
河村正子さん(79)は四年前に同居の妹を亡くしてから、団地で独り暮らし。足腰が弱くなり、外に出るのがおっくうだった。「ここに来れば話し相手がいる。子どもたちのにぎやかな声を聞くだけで元気が出る」
集会所は県の委託で社会福祉法人和光会(岐阜市寺田)が運営。三月末に契約を終えたが、団地の住民らが当番制で運営することが決まった。和光会も保健師や栄養士を定期的に派遣し、健康教室を開く。
和光会のスタッフ、野尻ひでみさんは「皆さんの意気込みに押される形になった。交流をきっかけに、住民同士が支え合う形が深まれば」と期待する。
(小笠原寛明)
◆本来は行政の役割
高木和美・岐阜大学地域科学部教授(社会福祉学)の話 身近で気兼ねなく使える集会所を使うという視点はおもしろい。団地群の高齢化や孤立は都市部に限らず、岐阜のような地方でも共通の課題。各地でも取り組みが始まっているが、行政の補助が切れて活動が停滞してしまうおそれがある。交流の場や保健師などの専門家を置くといった基盤の整備は本来、行政の役割といえる。
Posted by 春 ヲ 呼 プ at 13:04│Comments(0)
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