2013年01月22日

日本のインフレ目標、金利上昇ともろ刃の剣


Chosun Online http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/21/2013012101000.html

2013/01/21 11:08

 無制限の金融緩和、公共投資拡大を掲げた「アベノミクス」について、「新富国強兵策」だという前向きな評価と「日本を国家デフォルトに追い込む政策」だという否定的な評価が交錯している。

 米国プリンストン大のポール・クルーグマン教授は最近、ニューヨーク・タイムズへの寄稿でアベノミクスについて「20年間の景気低迷を克服するための正しい政策だ」と評価した。日産・ルノーのカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)も「円相場は日本の深刻な競争力阻害要因の一つであり、円は1ドル=100円前後が妥当だ」と円安誘導を図るアベノミクスを擁護した。一方、アベノミクスが財政赤字拡大とインフレを招き、日本が国家デフォルトの危機に直面するという正反対の意見も聞かれる。

■株価を11%押し上げ

 アベノミクスの柱は、10年間で200兆円の資金を公共事業に投じる財政政策と日本銀行による量的緩和という通貨政策を並行させることだ。東京株式市場では両政策の効果で企業業績が改善するとの期待が高まり、日経平均は安倍首相率いる自民党が総選挙で大勝した昨年12月16日以降、1カ月で11%も上昇した。

■構造的問題は手付かず

 しかし、アベノミクスは日本経済の構造的問題点に対する根本的な対策を欠く短期的な処方にすぎないとの批判が出ている。すなわち、日本の長期不況の原因としてこれまで指摘されてきた少子高齢化による内需市場縮小、企業の過当競争、革新能力の喪失といった問題への対策が欠落しているとの指摘だ。安倍政権は高齢化問題の解決策の一つとなる移民拡大政策について論議すらしていない。自由貿易にも消極的で、自由貿易協定(FTA)の一種である環太平洋経済連携協定(TPP)については農民票を意識して否定的な立場だ。スタンフォード大の星岳雄教授は「金融政策だけでは高度成長を達成できない。構造改革を急ぐべきだ」と訴えた。

■インフレ目標のわな

 安倍首相はデフレ脱出に向け、日本銀行に2%のインフレ目標を達成するまで無制限に金融緩和することを求めている。問題は実際に2%のインフレが起きた場合、市中金利が上昇し、国債金利負担で日本政府の債務償還負担が急激に増大する点だ。

 日本の政府債務は国内総生産(GDP)の200%を超えており、年間の歳出(約100兆円)の20%は満期が到来する国債の償還費用に充てられている。

 現在の長期金利は1.2%で、消費者物価はマイナス1-マイナス2%だ。物価上昇率を差し引いた実質金利は2-3%といえる。名目金利は低いが物価がマイナス水準になるため、投資家が債券を買っている構造というわけだ。しかし、仮に物価上昇率がプラスに転じ、2%程度に上がれば、名目金利をさらに引き上げなければならない。実質金利2-3%という現在の水準を維持するためには、2%の物価上昇分も含め、表面金利を4%以上に引き上げる必要が出てくる。物価上昇率が2%前後だった1990年代の長期金利は年4-6%だった。

 金利が上昇すれば国債価格が暴落し、国債を保有する市中銀行に大きな損失が生じる可能性もある。そうなれば銀行の資本拡充を図る必要性から融資が引き締められ、銀行から金詰まり現象が起きることも考えられる。

 日本国債の大半は日本国民が保有しており、日本の個人投資家が国債を売って価格を暴落させるはずはないとの意見もある。しかし、昨年9月末現在で日本国債の外国人保有比率は9.1%だ。少しでも国債価格が低下すれば外国人が国債を売却して資金を引き揚げる可能性がある。安心してばかりはいられない。

東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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Posted by 春 ヲ 呼 プ at 13:57│Comments(0)政治金融
 
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