2016年06月16日
2016年06月16日
2016年06月14日
デイヴィッド・ロックフェラー101歳
2016年06月14日
ロシアのTENEX、福島第一原発処理に助力へ
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160613/2301921.html

2016年06月13日 22:02(アップデート 2016年06月14日 14:57)
ロシアの原子力国家コーポレーション「ロスアトム」の傘下のTENEX社はこれから「バックエンド」事業という新たな方向性を打ち出していく。「バックエンド」とは原子力施設の廃炉に取り組む作業だ。
フォーラム「アトムエクスポ2016」に参加した同社のリュドミラ・ザリムスカヤ代表取締役はスプートニクからのインタビューに次のように語っている。
スプートニク:専門家らの間からは世界最大の原子力施設でその使用停止に著しい尽力と非標準的なアプローチが要求されるのがまさに日本の福島原発だという指摘が挙げられている。日本側は福島第1原発の使用停止作業にTENEXの参加の可能性を検討しているだろうか?
ザリムスカヤ代表取締役:ロシア人専門家らは原子力部門で原子力施設のバックエンドで使用済み核燃料、放射性物質の問題解決や放射能汚染地域の除染など、おびただしい数の複雑な事例に70年間取り組んできた。
マヤーク核技術施設(チェリャービンスク州)やチェルノブイリ原発の事故後の処理作業、国防関連核施設の復旧、原子力潜水艦の解体作業の規模を思い起こすだけでそれは十分理解できると思う。こうした課題を解決するために莫大なリソースが使われたが、その結果、ロシアには稀有な経験が蓄積された。
これらの経験を、残念ながら福島原発事故後の数年間、日本側はあまり必要としてこなかった。そのために今日、彼らには非効果的な解決を行なった結果生じてしまった問題を取り除くために、図りしれないほど多大な努力が要されている。
これは破壊された原子炉の冷却水の除染にも汚染土壌にも関係してくる。ロシア人専門家らはこれらを見通しており、日本側に対し、最も困難な問題についても事故後の災害処理者らがようやく今取り組み始めた、破壊燃料の除去、莫大な量の標準外の放射性廃棄物の扱いなど問題についても技術上のソリューションを提案している。
TENEXはこの分野におけるロシア、日本の企業間の対話に積極的に参加している。2015年11月、我々は東京でロシアのバックエンド技術に関するセミナーをロシアのリーダー格の専門家らを参加させて行い、これが日本側の大きな関心を惹いた。今日、具体的問題、施設に関する交渉が形作られており、事例ごとの交渉が準備されている。ロシアの経験は日本人専門家が目前に立ちはだかる月並みではない問題を解決する上で必ずや必要になってくるはずだ。
2016年05月26日
2016年05月23日
6月1日 衆議院解散?

つぎの米大統領はトランプだろう。 急激に事態が動いた。 それと日本の衆参同時選挙がさっき決まった。
投稿者:副島隆彦投稿日:2016-05-23 08:27:58
副島隆彦です。 私は、5月19日から4日間、考え込んでいました。が、どうやら、ドナルド・トランプが、次のアメリカ大統領になる、と決まったようだ。
この話とか、重要な最新に、直近(ちょくきん)の緊迫した世界情勢の、裏の動きを、私が思いっきり話しますから、時間と金のある会員たちは、5月29日(日)に、東京のお茶の水に結集してください。
次はどうもトランプだ。急激にアメリカ政治の情勢が変わった。急激にヒラリーの目がなくなった。 ヒラリー=ネオコン(凶暴な、戦争をはじめる勢力)ではアメリカが保(も)たない、とアメリカの最高権力者 たちが、判断したようだ。だから、次の大統領はトランプだろう。
あ、その前に。たった今、私に政治家から情報が来ました。安倍晋三首相が、「衆参(しゅうさん)同時選挙をする」 と、首相専管事項とされる、憲法7条の ダンビラ(刀)を抜いて衆議院を6月1日に解散して、7月1日の投票日とする、と決心したようだ。
まだテレビや新聞への発表、報道はないだろう。 安倍晋三は、「もう衆議院の解散はやらない、参議院だけの選挙だろう」と 周囲の記者たちは言っていたのに、急に、衆参同時選挙で動いた。
そうしないと自分の政権がもたない、と安倍自身は危機感を持って判断したのだ。 バカだから、最後は、また「憲法9条の改正の悲願を・・・」と自分に言い聞かせているのだろう。
ところが、安倍晋三は、自分のこの判断を、アメリカでトランプ政権ができる、という、自分たちアメリカ・ネオコン(の手先、子分、忠実な子飼い)をやって来た者たちは、アメリカでの急激な変化を知って、アーミテージか、マイケル・グリーンか、キャシー松井からか、「俺たちネオコン=ヒラリー派は、どうもワシントン政治で負けそうだ」と情報=ご注進(ちゅうしん)が入って、解散・選挙を決めたのか、は、私、副島隆彦にまだわからない。それほどの頭のいい日本人が、安倍の周り(官邸。官邸の権力=笑=)にいるとは思えない。
しばらくしたら、分かるだろう。
なぜトランプが次の大統領で決まりか、と、言うと、それは、下 ↓ の 、ここの重たい掲示板の「1934」で、アルル君が昨日(5月21日)に載せた、重要なNYからの情報でほぼはっきりした。
アルル君が、貼りつけた画像2枚は、18日(現地)に、トランプが、不愉快そうな顔をしながら、NYのアッパー・イーストのヘンリー・キッシンジャー(92歳)の高級アパートメントに、「自分の方から出向いて行って」(英語の記事では、turn to となっていた)「外交政策で教えを乞いに行った」となっている。
18日、マンハッタンのキッシンジャー宅を訪問したトランプ
https://www.youtube.com/watch?v=MrabND5dMb8&feature=youtu.be
この男が、ジャレッド・クシュナーだ。
これはきわめて重要なことだ。キッシンジャー すなわち、“世界皇帝“デイヴィッド・ロックフェラー(6月で101歳)の直臣(じきしん)が、「トランプでいいよ。ヒラリーでは危なっかしくて見ておられない」と決めた、ということだ。
このことは、これからの世界にとって、極めて重要な変化だ。キッシンジャーは、「トランプ。君が大統領になったら、すぐに金正恩(キムジョンウン)と話をつけろ。中国との根回しは、私がすでに付けてある(さすが。中国の手先、キッシンジャー)。北朝鮮に核を打たせるな」と助言どころか、トランプに命令しただろう。 ・・・・ということは、どういうことになるのか。これまでの、トランプ旋風の、アメリカ大統領選挙の大騒ぎは、その中心部(震源地、エピセンター)のところではもう終わった、ということだ。
ここで、アルル君が下 ↓ に貼りつけた、2枚目の画像(CNNのニューズの画像)が重要だ。背広も着ない軽装のガキが、写っているが、この若い男は、トランプの娘、Ivanka イヴァンカ(35歳)と結婚した男だ。このジャレッド・クシュナーの父親が、ニューヨークのユダヤ人社会の元締めの大物(AIPACの会長)である。正統派(オードドックス)ユダヤ人だ。
このジャレッドが、トランプの付き添いで、18日に、キッシンジャーを訪ねた、ということは決定的である。 それで私、副島隆彦は決断した。「次はトランプだ」と・・・・・。これ以上のことは、当日、定例会で話します。日本国内では、誰からも聞けない、かつ、世界最先端の、アメリカのワシントンの官僚、高官、財界人たちでも、まだ右往左往している・・・・。
あ、学問道場の会員でない人でも、一日会員ということで、当日券を買って入場してください。構いません。私たち学問道場には、一切の秘密はありません。私たちは、時代の最先端を生きる、どんな組織・団体にも頼らない、独立自尊(どくりつじそん。福澤諭吉先生が言った)の知識人としての誇りと矜持(きょうじ)さえあれば十分です。あとは、皆様からのご支援だけが、私たちが食い繋(つな)いで、生き延びてゆく 糧(かて)です。
副島隆彦 拝
2016年05月20日
三権分立
衆議院トップページ >国会関係資料 >国会について >三権分立
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/kokkai/kokkai_sankenbunritsu.htm
三権分立
日本国憲法は、国会、内閣、裁判所の三つの独立した機関が相互に抑制し合い、バランスを保つことにより、権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障する「三権分立」の原則を定めています。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/kokkai/kokkai_sankenbunritsu.htm
三権分立
日本国憲法は、国会、内閣、裁判所の三つの独立した機関が相互に抑制し合い、バランスを保つことにより、権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障する「三権分立」の原則を定めています。

2016年05月17日
電通は日本のメディアを支配しているのか?

http://blog.tatsuru.com/2016/05/15_0947.php
内田樹の研究室
電通は日本のメディアを支配しているのか?
「電通は日本のメディアを支配しているのか?」と題するフランスのネット記事を翻訳しておく。
記者はMathieu GAULÈNE。配信は5月13日。
プリントアウトしたらA48枚に及ぶ長い記事だった。手の空いているときにちょっとずつ訳したら、7000字になった。
電通は日本のメディアを支配しているのか?
Mathieu GAULÈNE • Publié le 13.05.2016
http://www.inaglobal.fr/television/article/le-publicitaire-dentsu-tire-t-il-les-ficelles-des-medias-japonais-9000
電通は世界第五位のコミュニケーショングループで、日本の広告市場の過半を握っている。日本のメディアの自由に、とりわけ原子力産業について語る場合のメディアの自由に、強い影響力を行使している。
参院選の夜、型破りの反原発候補者であった元俳優の山本太郎はどこの政党の支持も受けず、ツイッターで選挙運動を展開してきたが、東京の参院議席を獲得した。メディアの検閲を受けながら、この熱情的な若い候補者は原発と並んでメディアに対しても激しい批判を向けていた。メディアは「広告代理店の支配下にあり、それゆえ電力会社に買収されている」「原発に関するすべての情報をシステマティックに検閲している」と彼は主張したのである。
あるテレビ局が彼に放送の最後に発言機会を与えたが、まずスタジオにいるジャーナリストに業界擁護の弁明をさせた。画面では、若い参院議員は返答のために1分弱の時間しか与えられなかった。「僕は簡単な例を挙げます。これから食糧はキロ当たり100ベクレルまで含有することができる。それは食事を摂るだけで被曝するということを意味しています。しかし、このことをテレビは放送していない」そこまで言ったところで山本は発言を遮られた。番組終了のジングルが鳴り、スタジオの司会者は嘲笑しながら番組の終了を告げた。
広告は文字通り日本全土を覆い尽くしている。列車の中も駅構内もポスターが所狭しと貼られ、スクリーンが並んでいる。ビルの上には巨大な看板が立ち、車には巨大なポスターが貼り付けられ、街路にはコマーシャルソングが響き渡っている。小便器の上に広告のスクリーンがあるレストランさえある。この広告の帝国においてメディアも例外ではいられない。新聞雑誌は、フランスと同じく、相当の頁数を広告に割いているが、それ以上なのがテレビである。
放送はスポンサーの告知から始まり、以後、五分おきに短時間のスポット広告が、それも同一スポンサーの広告が番組を中断する。
考える時間などない。ほとんどのテレビ局はパチンコ業界のようなプログラムを提供している。目障りな色彩、絶えざる騒音、中学生なみの俗悪な笑い。
このテレビという曲馬館のような騒ぎにおいて、広告は世界的な巨人、電通によってコントロールされている。電通は世界第五位のグループ企業であり、広告業界トップの代理店である。
日本における第二位の会社であるライバル博報堂と共に、二社は「電博」と呼ばれ、広告、PR,メディアの監視を集中的に行い、国内外の大企業・自治体、政党あるいは政府のための危機管理を担当し、マーケットの70%を占有している。この広告帝国が日本のメディアの論調を決定していると批判する人々がいる。
電通の重要性を表わす数値を掲げる。2015年において、グループは70億ユーロの売り上げを達成した。これは同時期のFrançais Publicis の売り上げ96億ユーロに続く数字である。ビジネスの中心はテレビ広告。どれもいずれ劣らず突飛なものである。例えば電通は10年前にSoftbankの「白戸家」シリーズを始めた。このCMでは父親が犬で、長男がアメリカの黒人俳優で、家政婦がトミー・リー・ジョーンズである。
2013年、グループは英国のAegis を37億ユーロで買収し、ロンドンに電通Aegisネットワークを立ち上げて、国際的な企業に拡大した。この国際的なネットワークは世界140カ国に拡がる10社ほどの広告代理店を擁し、デジタル・マーケティングを中心に、盛んな活動を展開している。国際市場で存在感を示し、その売り上げはグループの半分以上(2015年で54.3%)に及ぶ。電通の社員は世界で47000人、日本に7000人いる。
汐留のビジネス街、日本テレビ、フジテレビ、朝日新聞に隣接して電通タワーがあり、その偉容は辺りを圧している。デザインはフランスの建築家ジャン・ヌーヴェル、軽やかな曲線とガラスの仕切り壁にはいかなる突起物もない。建物の中では、グループの広報部長河南周作が満面の笑みで私たちを迎えてくれる。一階はオノ・ヨーコの白いチェスボードをはじめとする現代美術作品が並べられている。そこからエレベーターで社員たちは違う階のそれぞれの部署に向かう。グループはそれぞれの業界のトップ5を顧客に持っている。
「それぞれの業界で競合する会社のために働く社員は決して交わらないようにされております」と河南は私たちに保証してくれた。電通は見たところ透明である。だが、そのイメージはそれほどに滑らかなものだろうか。
2012年に出版されたある本の中で、本間龍は電通の装飾の裏側についてある程度のことを書いた。電通がその上得意の一つである東京電力のためにメディアをきびしく統制していることである。本間は広告代理店のハーレムの外側にいる人間ではない。彼は18年間業界二位の博報堂で働いていた。詐欺罪で1年の禁固刑を受けた後、彼は作家生活に身を投じ、最初にまず自身の監獄体験を書き、次に彼が広告業界で過ごした日々について書いた。彼がメディアを丸め込むために用いたさまざまな方法について。2012年、彼の著書『電通と原発報道』はほとんどのメディアが黙殺したにもかかわらず、数ヶ月の間ベストセラーとなった。
本間は著書で無視することのできない媒介者である電通がメディアに対して、原発について書いてよいことと書いていけないこと、どういう条件の場合にそうなるかを暗黙裏に指示するメカニズムを仔細に記述した。
「電通は特別な地位を占めています。日本における原子力広告市場の80%を占有しているからです。」本間龍氏は上野駅の喫茶店で行われたインタビューで私たちにそう指摘した。
2012年、広告市場において、地域企業である東電は広告費については10位に過ぎず、三菱重工業より下位にいた。その知、福島原発事故の直前に、東電は200万ユーロ以上を広告に投じた。10社ある地域の電力会社の広告費総額は700万ユーロに達した。
この数十年、とりわけいくつも事故が続いて原子力に対する疑念が高まってきた1990年以降、東電と他の電力会社は広告スポットとジャーナリズムへの広告記事を増大させていった。
テレビでは、この広告出稿はそれだけであらゆる批判を封じることができる。大企業はトークショーや1クール丸ごとのシリーズをしばしば提供する。自己検閲は一般に行われており、これに異議を唱えることは事実上不可能となっている。しばしばドキュメンタリー番組が電力会社の連合組織であり、原子力ロビーの中心的なアクターである電事連によって製作され、原発事業の利点を宣伝する。
原発反対の声はなかなか聞き届けられない。それをすれば貴重なスポンサーを失う怖れがあるからである。福島の事故後、山本太郎はその犠牲にされた。彼はタレントとしてそれまでスタジオにレギュラー出演していたが、反原発の立場を明らかにしたために、いきなりテレビ界そして映画界においてさえ、「ペルソナ・ノン・グラータ」(好ましからざる人物)に認定された。今に始まったことではない。ずっと以前から、広瀬隆や小出裕章のような反原発運動の中心人物たち、ベストセラー作家は事実上テレビスタジオに登場することがなかった。福島の事故以後も。
本間が告発するこの「メディア支配」は原発にのみかかわるものではない。彼の著書では、トヨタのアクセルペダルの不良についてのリコール事件についても言及している。事件が日本のメディアで報道されるのは、トヨタの社長がアメリカ議会で謝罪した後のことである。「広告代理店が彼らのクライアントの企業イメージに傷がつかないように報道を抑えていたことが確かだ。しかし、スキャンダルがあまりにも大きく、海外でも報じられたので、日本のメディアはやむなくこれを報道することになったのである。」と本間は語る。
テレビ朝日の『報道ステーション』は質の高い報道番組で、しばしば政府批判を行っているが、これを除くと、テレビのニュース番組はどれも凡庸なもので、雑報的なものを前面に報道し、特定の企業の評判にかかわるような主題はまれにしか扱わず、政府発表をそのまま留保なしに中継し、国際ニュースは日本人の在外国民がかかわる場合にしか報道しない。
これらの民間のメディアの中にあって、NHKだけが受信者から直接受信料を徴収することで、この広告帝国の支配を免れており、独立性を誇っている。だが、残念ながら、NHKの状況はさらに劣悪である。会長籾井勝人はNHKは安倍政権のスポークスマンであるべきだと何の遠慮もなく繰り返し断言している。
200人の退職者を前にした最近の宣言の中で、籾井はNHKの記者たちに九州での地震については当局からの確かな公式発表と地震が列島南部のみを伝えることで満足するように、また列島南部で稼働中の原発に地震が与えるリスクについては独立的な専門家の意見には耳を貸さないように厳命した。
電通は共同通信、時事通信というふたつの通信社と特別な関係を持っている。いずれも電通の歴史的な株主であり、それには理由がある。この三つの会社は戦前は同一の企業体を形成していたのである。新聞報道はテレビに比べると統制がむずかしい。この点においては電通は広告出稿しかできないが、ある種のアフターサービスを提供している。メディアの監視、危機管理コンサルティング、広告サービスを経由しての新聞への間接的な圧力の行使である。
フランスでは企業グループによる出版社の買収は企業からメディアへ直接的な圧力のリスクがかかることを意味しているが、日本では、圧力の行使は広告代理店を経由して行われている。広告代理店がメディアに対する企業サイドの「大使」の役割を演じているからである。
「どういうようにそれが行われているか、私は熟知しています」と本間は言う。
「私は博報堂にいたとき、まさにそのような仕事をしていたからです。工場や発電所で何かトラブルが起きる。メディアがそれについて報道すると、電通がただちに介入してきます。そして、問題になっている新聞の営業部門を訪れます。」
別に声を荒立てるわけではない。ことは「日本的」に行われる。「ただ、この件についての報道をもう少し抑制してくれないかとお願いする。記事にしないか、あるいは読者の少ない夕刊に記事を掲載してくれないか、と」。新聞の営業部門はそのメッセージを編集部門に伝える。
記者たちはそのプロセスについては何も知らない。翌日になって続報はさらに小さな扱いになるか、まったく報道されなくなる。その場合には紙面に余裕がなかったという理由が用いられる。
しかし、疑惑は無数にある。本間によれば、彼の著書の出版の後、多くの記者たちが彼のところに取材に来て、検閲の事例について確認を求めた。
「少なくとも私が知っている例が一つあります。それはある自動車メーカーが三大日刊紙の一つである毎日新聞に対して検閲を成功させたことです」と彼は言う。原発に関しては、検閲はさらに広がり、週刊誌や地方紙にまで及んでいる。
福島の原発事故以来、検閲は停止している。しかし、電通にとってはこれは新しいビジネスチャンスの到来を意味していた。福島県産の農作物のプロモーションである。テレビ広告、新聞広告、駅貼りポスターなどなど。2011年以来、有名歌手の参加を得て、福島県は県産の梨や米やトマトについて「福島のプライド」「福島は元気だ」といったプロモーションに対する出費を惜しまなかった。
こういったことのすべてには電通と電通PR(電通のPR担当子会社)という日本第一位の広告代理店が関与している。「電通PRは経産省の仕事もしている」と電通PRの広報部長の藤井京子は私たちに説明した。
「私たちは海外のジャーナリストたち、タイとマレーシアのジャーナリストたちのために、被災地が被害からすでに立ち直っていることを示すために、東北地方への無料訪問を企画しました。」それは周辺の放射能を忘れさせるためでもあった。
電通はまた原発広告においても、東電のためにまた強力な経産省と自民党の傍らにあって特異な地位を占めてきた。この二つも電通の広告のクライアントである。
このような状況において、電通が「原子力ムラ」の立場に与していると考えることは可能だろうか。この問いに私たちを電通タワーの上層階にある彼のオフィスに迎えた河南周作氏は「われわれはメディアに対する影響力を持ちませんし、政治にも関与しません」と即答した。しかし、私たちがではなぜ電通は日本の電気会社やEDF(フランス電力)と並んで原子力ロビーの中心組織である日本原子力産業協会のメンバーであるのかと問うと、河南周作氏はより用心深くなった。「そのような団体のことは存じませんが、それは確かなのですか」と彼は困惑した様子で答えてからスマートフォンを手にした。
「ああ、そうですか。私たちはメンバーです。けれども、私たちはさまざまな協会のメンバーになっております。誰かを会議に出席させてくれと言って来る。誰かが言ってサインする。それだけのことです。」ややあってから、彼は「私たちは木材製造協会の会員でもあります」と付け加えた。明らかに彼自身自分の説明に説得力がないと感じていたらしく、他の理屈を見つけ出した。「ご覧なさい、博報堂も会員です!」と彼は突然声を上げた。原子力ロビーに関与しているのが電通だけではないことを知って彼はほっとしたようだった。
本間龍によれば、これは原発促進活動の再開の徴である。「博報堂は二年前から日本原子力産業協会の主要メンバーです」と言いつつ、彼は福島の事故後に博報堂がこのような関心を示したことに驚いていた。明らかに、何十年にもわたって原発広告という「金鉱」から遠ざけられていた博報堂は、福島事故の後に強化されるはずの原発促進広告という「ケーキの分け前」にありつこうとしているのである。原発促進広告は2011年の3月11日の事故以来完全に消えている。東電によるテレビと新聞を使った謝罪広告のあと、原発の開発事業者と建設事業者たちは広告には消極的であり、5年間原発についての広告は一つの配信されていない。
だが、原発再稼働がいくつかも法廷で争われ、高浜原発のように稼働停止判決が下され、国民の多くが原発再稼働に逡巡しているうちに、原発促進の賭け金はどんどん吊り上がっていった。2015年の原発再稼働の後、2016年は原発広告のひそやかな再稼働の年となった。広告はまず原発が設置された地方の地方紙と地方テレビ局に登場した。本間龍氏は彼の最近の発見を誇らしげに見せてくれた。「2016年2月から、関西電力は福井新聞に何度か全面広告を打ちました。福井は高浜原発が再稼働してから一月後に稼働停止の仮処分を受けたところである。新潟日報と新潟の地方テレビ局では、東電の世界最大の原発柏崎刈羽原発再稼働のための広告が独特の文脈で登場した。現在の新潟県知事ははっきりとした反原発の立場にあり、再稼働一般に反対しているが、彼の任期が終わる年末に選挙がある。東電による原発広告の再開は新潟の市民たちの怒りに火を点けずにはいなかった。とくに福島からの避難民たちは広告の停止を求める請願を行った。
これらの広告の伝えるメッセージはどれも同じであり、電通がその背後にいることを思わせる。電力会社は原発の安全性を保証するためにあらゆる手立てを尽くしていると約束し、その一方で、写真は原発労働者たちの姿を前面に押し出して、福井のような産業の乏しく、原発に依存している地域の雇用問題の琴線に触れてくる。
本間龍氏によれば、これらの広告は氷山の一角に過ぎない。これらの広告は原子力に関するすべての広報と緊密な関係を持っている。これらの地方紙は原発反対派の発言についてはごくわずかな紙数しか割かない。
先月公表された報道の自由度についての報告で「国境なき記者団」は日本を世界72位に格付けした。これはハンガリーやタンザニアよりも下位である。日本は6年前はこのランキングで世界11位であった。東京を訪れた国連の調査員もまた日本のジャーナリストたちが受けている圧力が、民間でもNHKでも、日々強まっていることについて警告を発した。問題になっているのは政府による圧力の強化である。これは特定秘密保護法の施行によって一層強まった。特定秘密のうちには原子力に関するものも含まれている。この規定の曖昧な法律は「秘密」情報を漏洩したジャーナリストを投獄すると恫喝している。この状況を象徴するように、三人のジャーナリスト、それぞれ硬骨で知られた人々がテレビのレギュラーを辞職するということが起きた。その中の一人『報道ステーション』のキャスターであった古舘伊知郎は、本間龍氏によれば、数年前から原発政策と安倍政権の政治に対する批判的な態度ゆえに、電通の標的になっていた。
日本の巨大企業の特権大使である電通が、これから後も、日本で今起きているメディアに対する大がかりな締め付けにおいて負託された役割を演じ続けることには疑いの余地はない。
2016年05月17日
トランプ台頭と軍産イスラエル瓦解
http://tanakanews.com/160511trump.htm

2016年5月11日 田中 宇
トランプ台頭と軍産イスラエル瓦解
5月3日、米国インディアナ州の共和党の予備選挙で、ドナルド・トランプがライバルのクルズらに圧勝した。米大統領選挙は、まず2大政党がそれぞれの統一候補を夏の党大会で決めた後、11月の最終投票で2人のどちらかを選出するのが事実上の制度だが、トランプは7月の共和党大会の代議員を決める各州での予備選挙で勝ち続け、5月3日のインディアナ州で全代議員の過半数がトランプ支持者で占められる状態にした。これで、トランプが共和党の統一候補になることが確定的になった。ライバル候補だったクルズとカシッチが相次いで敗北を認め、立候補を取り下げた。トランプは、すでに1050万人の共和党員に支持されており、最終的に共和党史上最多の支持を集めることが予測されている。
党内民主制度で勝った以上、トランプが共和党の統一候補になり、トランプへの不支持を表明する者は離党するのが筋だが、それは簡単に進んでいない。共和党の上層部の大半は、これまでトランプを落選させようと動いてきた。911以降、共和党の上層部は軍産複合体系の勢力が席巻し、中東での連続的な戦争やロシア敵視策を進めてきた。だが、トランプはこれらの好戦策を採らず、日韓や欧州からの米軍撤退、ロシアとの協調など、むしろ軍産を潰す策を掲げている。
トランプは、リーマン危機後の米当局による金融延命策に反対で、任期が来たらイエレン連銀議長に辞めてもらうと言ったり、米国債をデフォルトさせるかもしれないと示唆したりしている。彼は、軍産を懐柔するためか軍事費の増加を提唱しているが、その一方で大減税を主張しており、米国を財政破綻に誘導している感じがする。
大金持ちのトランプは、自己資金で選挙戦を進め、他の候補たちのように党の資金に頼っていないので、党上層部は、カネを使ってトランプを従順にさせることができない。米国では、911以来の好戦策と、リーマン以来の金融延命策(金融界だけ助けて一般市民の生活は悪化)に対し、米国民が不満をつのらせているのに、共和党も民主党も上層部が(軍産や金融界からカネをもらっているがゆえに)国民の不満を無視して好戦策や金融延命策を続けている。だが、好戦策も金融延命策も、もう限界に達し、破綻しかけている。トランプはこの状況を見て選挙に参戦し、米国民の民意に沿う形で好戦策や金融延命策を潰す姿勢を打ち出し、大成功している。
マスコミや専門家(彼ら自身、軍産や金融界のカネで生きている)は、ムスリム入国禁止論や移民敵視など、本質的でないところでトランプを酷評してきた。軍産への従属を国是とする日本でもマスコミがトランプを誹謗中傷し、日本人は軽信的なので、多くの人がトランプを嫌っている。しかし実のところ、トランプが共和党を制したことは、米国の民主主義が、意外にも健全さを失っていなかったことを示している。
軍産と金融界の影響下にある共和党上層部は、トランプを党の主導役として受け入れることが困難だった。党内最高の有力者であるポール・ライアン下院議長は5月6日に「まだトランプを受け入れることができない」と表明した。党内勢力の一つであるネオコンのウィリアム・クリストルは、党内の保守主義者を集めて脱党し、第3政党を作る方針を模索し始めた。
とはいえ、共和党上層部のほとんどの勢力は、自分の党を分裂させて壊すつもりがない。共和党の上層部は、米国が2大政党制だからこそ、強い権力を持ち続けられている。彼らは党を割りたくない。トランプを「まだ」支持できないと言った下院議長のライアンもその一人だ。共和党内は近年、金融界を敵視する茶会派の草の根からの台頭などで分裂傾向が増し、ライアンは分裂をうまくまとめる技能を評価され、46歳と若いのに昨秋から議長をしている。うまくやれば彼は2020年の大統領候補になれる。
米国は11月に大統領選と同時に上下院議員選挙も行われるが、共和党は多数派(下院
の与党)を維持できそうで、ライアンは議長の座を守れそうだ。そんな彼が、トランプと決裂したいと思うはずがない。ライアンはむしろ、自分が党内の反トランプ派のまとめ役になってトランプと交渉することで、既存の党上層部とトランプを和合させたいように見える。ライアンはトランプに面会を申し込み、2人は5月12日に会う。両者の交渉は一度で妥結しないかもしれないが、7月の党大会の前までにまとまるだろう。
不動産事業で大儲けしたトランプは2011年まで、共和党より民主党に多く献金していた。その後は共和党に強く肩入れしたが、それは自分が大統領になるための動きだった可能性がある。草の根の支持を集めて民主的に共和党を乗っ取り、既存の党上層部に自分を支持しろと迫るトランプは、共和党に対して「敵対的企業買収」をかけて成功した感じだ。トランプにとって、共和党は自分が大統領になるための買収先でしかないが、ライアンやその他の共和党幹部の多くにとって、共和党は自分たちの人生そのものだ。トランプのせいで共和党が分裂解体すると、トランプ自身は大して困らないが、ライアンら議員団は非常に困る。
既存の共和党上層部は、敵対的買収を受けて陥落した企業の経営者員たちと同様、草の根の従業員(党員)の士気を気にして強気に振舞うが、裏では買収屋にすり寄ってと何とか折り合いをつけようとする。すでに、ジョン・マケイン上院議員、ディック・チェイニー元副大統領ら、ゴリゴリの軍産複合体の共和党の重鎮たちが「誰であれ、党内選挙で勝った人を大統領候補として支持すると、私は以前から言ってきた」という言い方で、トランプ支持を表明している。ブッシュ家は元大統領の父子がそろってトランプ不支持を表明したが、これは共和党を分裂させる目的でなく、むしろブッシュ家が政治から手を引く宣言をしたように見える。一つの時代が終わり、次の時代が来ている。
共和党が分裂せず、米国の2大政党制が崩れないなら、トランプ化する共和党を離脱して新政党を作っても、2大政党以外を強固に排除する米国の選挙制度に押しつぶされ、ほとんど政治力を発揮できない。ネオコンのクリストルたちは「真の保守主義者(のふりをした守銭奴)」たちを誘って党外に出ることで、共和党浄化作業の「ゴミ箱」として機能しようとしている。
トランプ支持を表明した人々の中で私が最も驚いたのは、マケインやチェイニーでない。ラスベガスなどのカジノやリゾートを経営する不動産王で、共和党に巨額の献金をしてきたシェルドン・アデルソンが、5月6日にトランプ支持を表明したことだ。ユダヤ人である彼は、ネタニヤフ首相らイスラエル政界とつながり、米共和党に対し、親イスラエルの政策をとり続けることを強要してきた。
アデルソンは、イスラエルで最大の部数を持つ日刊紙(フリーペーパー)のイスラエル・ハヨム(IsraelHayom)も経営(所有)しているが、同紙は「ネタニヤフ新聞」と揶揄されるほど、ネタニヤフや与党のリクードについて好意的に報じ続け、イスラエルの言論の極右化や、09年からのネタニヤフ政権の長期化に貢献してきた。共和党を含む米政界は911以来、軍産複合体とイスラエル右派が合体した「軍産イスラエル」の強い影響下にあるが「在米イスラエル右派」として大きな力を持つアデルソンは、共和党が軍産イスラエルに対して従順であるよう仕向けてきた。
そんな軍産イスラエルの黒幕であるアデルソンが、軍産の共和党支配や、米国の覇権主義を破壊しようとするトランプに対し、支持を明言したのは驚きだ。トランプは昔から親イスラエルで、彼の娘のイヴァンカはユダヤ人実業家と結婚してユダヤ教徒に改宗している。だが、トランプが大統領になって主張通りの世界戦略をとり、米国が覇権を減退させて中東など世界各地から軍事的に手を引いたら、イスラエルは窮乏する。昨年末、アデルソンが共和党内でトランプを攻撃中傷する運動に資金を出しているのでないかと分析者の間で推測されたが、その後アデルソンがトランプに関して好意的にコメントし、イスラエルの自分の新聞ハヨムにトランプ批判を載せることを禁止し、むしろハヨムに親トランプ的な記事を書かせていることがわかった。アデルソンのトランプ支持は長期的なものだ。
民主党ではクリントンが好戦派を演じ、親軍産・親イスラエルを強くかがけている。好戦的な米国がイスラエルを守ってくれるという従来の構図を維持したければ、アデルソンはトランプ支持を表明せず、クリントンを財政支援するのが良い。しかしアデルソンはトランプを支持した。これはイスラエル右派がトランプを支持したのと同じだ。
米国とイスラエルの関係を見ると、すでに現オバマ政権が、イスラエルの仇敵だったイランに対する核兵器開発の濡れ衣を解いてイランを台頭させ、シリア内戦の解決もロシアに任せてしまっている。イスラエルの周辺では、シリア、レバノンが露イランの傘下に入り、エジプトも親米より親露に傾いている。米国の中東支配が崩れ、イスラエルは米国に頼っても意味がなくなっている。クリントンが次の大統領になっても、この傾向は多分あまり変わらない。むしろ、建前だけ2国式解決(パレスチナ国家創設)のパレスチナ問題で、米国は、解決する気がないくせに人権問題やユダヤ入植地建設反対を言ってイスラエルを非難し続けそうだ。
イスラエルとしては、いっそのこと米国に頼らず、ロシアのプーチンと話をつけ、パレスチナ問題で黙っていてもらうと同時に、イランやその子分のレバノンのヒズボラがイスラエルを攻撃しないようプーチンから圧力をかけてもらう方が効率的だ。ネタニヤフは最近足しげくモスクワを訪問し、プーチンと長時間にわたって会談している。ロシアの中東支配が安定すれば、いずれプーチンの仲裁で、敵同士だったイスラエルとイラン、イスラエルとサウジアラビア、サウジとイランなどが和解できる可能性が増し、イスラエルは国家存続できる。米国(軍産)は長年これらの敵同士の対立を煽ってきたが、プーチンは対照的に中東の安定を重視している。軍産にすり寄るクリントンはロシア敵視を繰り返し表明しており、彼女が大統領になったらイスラエルはロシアに接近しにくい。対照的にトランプは、プーチンを評価しており、イスラエルのロシア接近をむしろ喜ぶ。
トランプが共和党を制した直後、イスラエル政府(法務相)は、これまで軍事占領地としてイスラエル軍による軍政が敷かれてきたヨルダン川西岸のうち、パレスチナ人の人口密度が低い「C地域」(広さとして西岸の60%、砂漠が多い)について、これから1年かけて、軍政下の占領地から、国内法が適用されるイスラエル国内に転換していく法的措置をとっていくと発表した。国際的に批判されているユダヤ入植地のほぼすべてがC地域にある。イスラエルはこれまでC地域からパレスチナ人を追い出す作戦を続けてきたが、それでもC地域に住み続けるパレスチナ人にはイスラエル国籍が与えられ、イスラエル国民の2割を占める「アラブ系市民(2級市民)」の仲間入りする。
この動きは、イスラエルが2国式を破棄し、西岸の60%の土地を国内に併合することを意味している。イスラエルが西岸併合に向かっていることは以前から感じられ、私も3月に記事にした。西岸併合の正式表明が、トランプの共和党制覇の直後であることが重要だ。西岸をABCの3地域に区分したのは95年のオスロ合意で、AとBがパレスチナ人の人口密集地(Aはパレスチナ自治政府の自治地域、Bは自治政府とイスラエル軍の共同管理)で、それ以外がCだ。パレスチナ人の大半(280万人)はAとBに住んでいるが、ABは飛び飛びに存在し、都市間にあるC地域(パレスチナ人口30万人)がイスラエルに併合されると、残りのAB地域だけでパレスチナ国家を作ることが地理的に不可能だ。
パレスチナ人は今後、四方をイスラエルに囲まれた、アパルトヘイト時代の南アフリカの黒人ゲットー(ホームランド)と同様の、都市や農村の体裁をとった収容所で永久に過ごすことになる。ひどい人権侵害が続くことが確定的になったが、オバマ政権は大した反応をしていない。ムスリム排除を掲げる親イスラエルなトランプや、人権を問題にしないロシアのプーチンは、この新事態を看過してくれるだろう。トランプはイスラエルの西岸入植地の拡大を支持している。このように見ていくと、アデルソンのトランプ支持が理解できるようになる。
(西岸と隣接する元米英傀儡国のヨルダンでは最近、アブドラ国王の権力が強化され、彼は独裁的な力を手にした。米露が了承しないと、この変更は実現しなかった。もしかするといずれ、イスラエルやロシアやトランプは、AB地区に住むパレスチナがヨルダンに移住することを隠然と奨励し、これをパレスチナ問題の最終解決とするかもしれない。すでにヨルダン国民の6割はパレスチナ人で、ヨルダンの最大野党はパレスチナ人のハマスの系列だ。今後パレスチナ人の割合が増えてもヨルダンが「民主化」されぬよう、国王の権力を強化したのでないか。ヨルダン国王は、自らの権力増大と交換に、パレスチナ人の追加受け入れを了承した可能性がある。中東民主化の時代は去った)
イスラエルだけでなく、中東諸国の多くの指導者が、中東を混乱させることしかやらない米国に愛想を尽かし、モスクワを頻繁に訪問し、プーチンにすり寄っていると、オバマ政権の元中東担当責任者であるデニス・ロスが指摘している。大失敗した中東民主化策を推進したブッシュ家(パパは穏健派だったが)は、トランプの台頭、中東民主化策の完全破綻とともに、政界を去る宣言をした。サウジでは、対米自立をめざす30歳のモハメド・サルマン副皇太子が、王政内の対米従属派と暗闘を続けている。モハメド・サルマンが進めるサウジの対米自立も、トランプが大統領になったらぐんぐん進む。サウジの軍事的な対米依存を批判してきたトランプは、サウジの自立を支持(黙認)するだろう。
トランプが席巻した結果、共和党で見えてきたのは、これまで合体して共和党や米政界を支配してきた「軍産」と「イスラエル」が、別々の道を歩み出して分裂している新事態だ。軍産はNATO延命のためロシア敵視の道を暴走しているが、イスラエルは隠然と親ロシアに転じている。この事態は、米国がイラクやシリアやエジプトで戦争や下手くそな民主化扇動をやって失敗し、イスラエルがそれに迷惑するようになった数年前から始まっていたが、トランプの台頭で顕在化が一気に進んだ。この傾向は長期的なもので、今後さらに常態化する。軍産イスラエルが米国を支配した時代の終わりが来ている。トランプは、軍産イスラエルのプロパガンダ力の低下を見破り、大統領に立候補して国民の支持を集め、軍産を破壊した。米国は民主主義が生きている。私はこんな米国が大好きだ(皮肉でなく)。
軍産複合体は、もともと英国が冷戦を起こして米政界を牛耳るために作られた。冷戦終結後、英国は金融重視になって軍産を見捨て、軍産は弱体化(亡霊化)したが、90年代後半にイスラエルが軍産の皮をかぶって(軍産に背乗りして)米国支配に乗り出し、クーデター的に起こされた911事件を機に米政界を席巻した。こうした経緯を見て湧いてくるのは「軍産は、イスラエルが抜けた後、再び亡霊化して消えていくのでないか」という予測だ。イスラエルが軍産抜きで存在し続けるのと対照的に、軍産はぬいぐるみの「皮」でしかなく、誰かが黒幕として動かしてくれないと消滅していく。日本が黒幕になればいい、と対米従属の人は思うかもしれないが、アングロサクソンやユダヤといった、米国内に強い勢力を持つ英国やイスラエルと異なり、戦後の日本は米国内に勢力を持っていないので無理だ(戦後の日本政府は、米国に忠誠を疑われぬよう、日系人と縁を切った)。
イスラエルについて延々と書いたが、そこから読み取れるもう一つのことは「クリントンは勝てない」ということだ。クリントンはもともとリベラル派なのに、軍産イスラエルにすり寄って大統領になるため、無理をして好戦派としてふるまい、人権侵害だらけのイスラエル極右を大げさに支持してきた。クリントンは、軍産イスラエルの米国支配が今後もずっと続くことを前提に、大統領選を展開してきた。しかし、トランプの台頭と、アデルソンのトランプ支持表明が示すとおり、クリントンの戦略はもはや時代遅れだ。共和党では、もともと草の根の茶会派(孤立主義)だったランド・ポール上院議員がイスラエルにすり寄って大統領選に参戦したが、トランプに負けることが確定して敗退している。
オバマ大統領は3月、雑誌アトランティックのインタビューの中で、クリントンの好戦性を何回も批判している。オバマは、サウジやイスラエルの対米依存を批判する一方でロシアを隠然と持ち上げており、事実上の姿勢がトランプと似ている。オバマは、アトランティック誌に記事を書かせることで、自分がトランプ支持・反クリントンであることを(わかる人にだけわかるように)示したと思える。そのオバマ政権が運営するFBIは最近、クリントンが国務長官時代に私的なサーバーで国家機密を含んだ電子メールのやり取りをしていたことの違法性を捜査している。クリントンにとって選挙戦で最も大事な最後の半年間に入った今、オバマがFBIを使ってクリントンの選挙戦を妨害するかのように、メール事件の捜査が本格化している。クリントンがトランプに負ける公算が高まっている。
トランプの席巻とともに、世界中の対米依存(従属または牛耳り)の諸国が、米国依存を低めていく「B計画」を強化している。イスラエルやサウジはロシアに接近し、英国は6月末の国民投票を経てEUとの一体化を強めようとしている。ドイツやフランスは、米国が覇権を低下させてNATOが形骸化したらEUの軍事統合を進め、ロシアと和解できる。トランプはNAFTAにも反対なので、カナダやメキシコは様子見に入っている。
韓国は近年、米国と中国の間のバランスをとっており、米国が駐留米軍を撤退すると中国依存が強まる。在韓米軍の撤退には、中国が主催する6カ国協議の進展による米朝対立の解消が不可欠だ。トランプは、中国に圧力をかけて6カ国協議を進めさせる策を表明している。北朝鮮はその時に備え、中国風に背広を着て金正恩が登場する党大会を開いたりして、新たな宗主国である中国に配慮しつつ金正恩の独裁を強化している。米国が新政権になり、北の独裁強化が一段落したら、6カ国協議が再開されるだろう。協議が成功すると、朝鮮半島は米国の覇権を離れ、中国の覇権下になる。この覇権転換は、10年以上前のブッシュ政権の高官だったコンドリーザ・ライスが表明していたシナリオだ。
対米依存諸国の多くは、対米依存以外の「B計画」がある。それが全くない数少ない国の一つが、わが日本だ(ほかは米国に近すぎるカナダぐらいだ)。トランプは、日本だけでなく、韓国、ドイツ、サウジなど米軍が駐留するすべての国に対し、駐留米軍の経費を全額地元国で払うよう求めている。日本以外の国々は、全額払ってまで米軍にいてもらう道理がない。たとえばドイツの米軍基地は、米軍のアフガニスタン占領の経由地として使われ、ドイツの基地がなければ米軍のユーラシア支配が不可能になる。ドイツの米軍基地は、ドイツのためでなく米軍のためにある。ドイツには「不必要なロシア敵視ばかりやる米軍は、ユーラシア支配をやめて出て行ってもらってかまわない」という世論がある。
このような他国の状況と対照的に、日本だけは「米軍がいないと中国の脅威に対抗できない」「日米同盟が消失(希薄化)したら日本はやっていけない」という、対米依存の見方しかなく、米国に依存しない国策が皆無だ。中国に対する不必要な敵視をしないなら、米軍の西大西洋戦略は、グアムとハワイだけで十分に機能する。日本はこの10年ほどかけて、対米従属を続けるため、尖閣問題などで中国との関係を意図的に悪化させ、中国を深刻な敵国に仕立てた(対照的に、カナダは深刻な敵国を作っていないのでB計画がなくても困らない)。米国の衰退(自滅)傾向は、03年のイラク侵攻あたりから見えていたのだから、日本はオーストラリアや韓国、東南アジア諸国と同様、米国と中国の両方とバランスをとって協調する策をとるべきだった。08年の鳩山政権はそれをやろうとしたが、対米従属プロパガンダ(官僚機構傘下のマスゴミと、その軽信者たる多数の国民の世論)に負けて潰れた。
この状況下でトランプが大統領になり、公約通り日本にも米軍駐留費の全額負担を求めてくると、まず日本は全額負担に応じようとするだろう。日本政府は思いやり予算として、すでに米軍駐留費の半分以上を負担している。これを全額にすることは、財政難の日本にとってつらいが、不可能でない。しかしトランプ政権は、在日米軍駐留費を再試算してふくらませ、まだ全額でないぞと言ってきそうだ。トランプの真の目的はおそらくカネでない。世界を対米依存からふりほどき、国際政治の構造を転換(多極化による活性化)し、それによって自国の政治体制を再浄化(軍産を破壊)することが真の目的だろう。
日本に対してだけ対米従属を認めると、そこから軍産が蘇生・延命しかねない。日本の対米従属は、トランプが進める米国と世界の政治浄化作業にとって邪魔者だ。米政府は、日本に対する嫌がらせを延々と続けるだろう。他の国なら、米国による嫌がらせが反米ナショナリズムの扇動につながり、対米自立につながっていくが、日本では、米国による嫌がらせを無視するマスコミや教育の体制が昔から確立しており、いくら米国が嫌がらせをしても、日本人には全く何も伝わらない。
しかし米国には、一方的に在日米軍を引き上げる手がある。トランプは、財政赤字の急拡大を打ち出す一方、米国債の債務不履行を示唆し、米連銀によるドル延命策にも否定的だ。1971年のニクソン政権による金ドル交換停止のように、トランプ政権は米国の財政破綻を意図的に演出する可能性がある。そうなると、米政府は緊急策として在外米軍の完全撤退を発動するだろうから、日本がいくら思いやり予算を出しても在日米軍の撤退を止められなくなる。
在日米軍が撤退し、日米同盟が形骸化して対米従属ができなくなると、日本はゆるやかに対中従属に転じていくだろう。昨年、オーストラリアの潜水艦を日本が受注しそうな件を機に、中国の影響圏に隣接する西太平洋地域に、日本が豪州やフィリピンなどと一緒に独自の影響圏を作っていく「日豪亜同盟」のシナリオが見えかけたが、それは豪州が潜水艦を日本でなくフランスに発注することを決めたため消えた。日本はこの10年、世界情勢の全体を見据えた上で自国にふさわしい対米従属以外の国家戦略を練る必要があったが、日本の趨勢は逆に、政府も民間も国際情勢に対する誤解と無知と無関心を増大してきた。
日本が対米従属をやめたら自前で核兵器を持って中国に戦争を仕掛けるという懸念が国際的に存在するが、これは今のところ杞憂だ。日本は以前から国内的に、米国に頼らず自力でどこかの国と対抗(競争、論争、戦争)する気力を国民が持たないようにする教育的な仕掛けが作られている。日本で権力を握る官僚機構は、好戦性や闘争心をできるだけ削ぐ教育を長く続けており、日本は自力で外国と能動的に対立できない国になっている。喧嘩や論争を好む若者は昔よりはるかに少ない。喧嘩や議論が好きなのは、官僚が無力化教育を開始する前に大人になった中高年(じじい)ばかりだ。この無力化の教育策は、対米従属の永続を目的としていたのだろうが、米国が覇権を失って中国が台頭する中で、日本を中国に立ち向かわない、中国やその他の国と競争・論争・戦争できない国にしている。これは「平和主義」でなく「従属主義」として日本で機能している。
中国は、日本のこうした状況を分析しているだろうから、日本のプライドをできるだけ傷つけないようにして、日本人が中国に感謝するように仕向けつつ、日本が中国にゆるやかに従属する体制(半鎖国・半従属)に移行させようとするだろう(ヤマトの琉球王国化)。官僚機構は、自分たちの権力が維持出来れば「お上」が天皇だろうが米国だろうが中国だろうがかまわないので、中国が日本の官僚隠然独裁を容認することを条件に、中国の策略に喜んで協力するだろう(売国奴)。官僚は、日本がどこかの国に従属している方が国内で権力を保持しやすい。国会でなく官僚が実質的な権力を握る限り、日本の真の民主化や国際的な自立は、この先も半永久的に起こらない。
2016年05月17日
国民怒りの声
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「国民怒りの声」設立宣言
2016 年5 月9 日 小林 節
政治の使命は、国家権力を用いて主権者国民の幸福を増進することに尽きる。
国民にとって、幸福の条件は、自由と豊かさと平和である。
しかるに安倍政権は、まず、世界のどこででも戦争のできる法律を成立させてしまった。
その理由として、中国と北朝鮮の脅威からわが国を守るためと主張している。しかし、両国の脅威がわが国の専守防衛を実際に超え得るかは疑わしい。そして何よりも憲法9条が軍隊の保持と交戦権の行使を禁じているために海外派兵はできないとしてきた政府自らの解釈との矛盾を説明できていない。それは、政府自身が公然と憲法を破ったことになる。
これが立憲主義の危機である。つまり、権力を一時的に託されただけの立場にある政治家が、主権者国民の最高意思である憲法を無視して、勝手に行動を始めたことを意味する。これは、国民主権国家における主客転倒であり、許されることではない。
次に、安倍政権は、政府が秘密に指定した情報を永久に秘匿できる特定秘密保護法を制定してしまった。これは、自由主義社会に例のないもので、主権者国民の知る権利を封殺し、ジャーナルリストの報道の自由を奪うものである。加えて、放送法を悪用して、政府にとって耳の痛い言論人に「不公平」のレッテルを貼り、順次、論壇から追放している。これは、民主主義の前提である言論の多様性が保障された社会の圧殺である。また、今回の、消費税再増税「中止」の雲行きを見ても明らかなように、いわゆるアベノミクスは失敗している。年金基金の投機的運用による損失も深刻である。加えて、戦争法の制定に伴う防衛予算の突出は、着実にわが国の富を減殺して行く。米国の経験を見
るまでもなく、戦争は確実に国家財政を破綻に導くものである。
さらに、海外派兵を可能にした戦争法が、これまで70 年にわたり平和でいられたわが国に、戦争の危険を現実のものにしてしまった。これはまた、国際社会における「平和国家」としてのブランドの放棄でもある。
このように、政治の使命(つまり、主権者国民の自由と豊かさと平和の増進)に逆行する政策を確信を持って推進している安倍内閣には一日も早く退場してもらわなければならない。
そのために、現行選挙制度の下では、自公に学んで、野党は誠実に選挙協力をしなければならないと、私たちは熱心に主張し続けてきた。
その結果、参議院1 人区での野党統一候補の擁立は着実に前進している。
他方、比例区に野党は統一名簿で参加せよという私たちの主張は理解が得られていない。
統一名簿方式のメリットはふたつある。第一は、これまでバラバラに戦って野党各党が無駄にしてきた莫大な死に票も、統一名簿であれば合算されて確実に議席を生むという事実である。第二が、野党共闘の「本気」度を示すことにより、これまでは「どうせ政治は変わらない」と諦めて棄権してきた3 割以上もの無党派層に、「今度こそ政治が変わるかも知れない」という期待感を抱かせ、投票場に向かわせる効果がある。経験上、その多くは野党に投じられ、相対的に与党の組織票の効果を下げることができる。
しかし、現実には、この野党統一名簿構想は頓挫してしまった。このままでは与党の勝利は目に見えている。
そこで、私たちは、安倍政権の暴走は止めたいのだが、かといって、未だに民主党政権の失政を赦すことができず、また、共産党に投票する気にもなれない多数の有権者の代弁者たらんとして、ここに第三の旗を立てることにした。
基本政策は次のとおりである。
1.言論の自由の回復(メディアへの不介入)
2.消費税再増税の延期と行財政改革
3.辺野古新基地建設の中止と対米再交渉
4.TPP 不承認と再交渉
5.原発の廃止と新エネルギーへの転換
6.戦争法の廃止と関連予算の福祉・教育への転換、改悪労働法制の改正等により、共生社会の実現
7.憲法改悪の阻止
以上